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 で、今。  高校近くのコンビニのWi-Fiを使って宮町と、ブロッククラウンをプレイしている。  ゲームの話をされたら、なんか断れなかった。  女と二人でコンビニでネトゲなんて、今までの俺にはありえない状況。  たぶん宮町があんまり女っぽくないからこうなってる。 「俺ね、このゲーム正直やめたいんだよ。極めてもなにも残んないじゃん」  相当時間を費やしてるから、やめるにやめられない。  俺受験生だしさ、こんなことしてる場合じゃねーんだよ。 「ネトゲはね、ログイン途切れるとどーでもよくなりますよ」  宮町は年下なのに達観した意見を出してきた。 「連続ログイン600日超えてんだぞ、これ途切れたら泣くよ?」 「ならこのゲームするのが楽しくなくなればいいですね。私も他のネトゲで連続1000日超えてたやつ、トラブルあって楽しくなくなってやめました」  1000日って、よく飽きずにやったな。  ブロッククラウンは四箇所の領土をチームで争奪し合う西洋ファンタジー風アクションゲームで、今は争奪戦の時間じゃないから領土内はバトルロワイヤルの戦場になっている。  宮町と同じ戦場の同じ座標からゲームを開始して、ビビった。 「おまえ、『Lleshi(レシ)』なの……?」  こいつ、争奪戦が始まるとチーム員じゃないのに戦場を引っ掻き回しにくるそこそこ有名なソロプレイヤーじゃねーか!  宮町は問いには答えずニコニコしながら、俺に攻撃してきた。 「なにやってんだよ!?」 「藤松先輩がこのゲーム楽しくなくなるように、先輩見かけたら瞬殺することにしました」  一緒にプレイするからそれなりに協力して上位を目指すもんだと思ったのに、予告通り、瞬殺された。  有名なだけあって、強かった。  家に帰ってから20:00の争奪戦が始まると、Lleshiが現れて俺はまた瞬殺された。  Lleshiに見つからないようにすることが最重要課題になって、見つかると猛ダッシュで逃げるか勝てないのに悪あがきをする。  争奪戦、チームに貢献どころじゃない。  でもなんか、こういう遊び方も、面白いかも。  いや、そんなことより俺、勉強しないといけないんだけど。
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