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「おまえもふざけてんのか?」
「最初は冗談だったんですよ、先輩もふざけてたし」
文化祭で女装してたこと言ってんのか?
「いや俺、クソ真面目にやってたからね」
コンテスト、優勝する気でいたからね?
「そう!」
宮町が俺を指差す。
「話してみたらクソ真面目にロリっ子してるとか、絶対面白い人じゃないですか。だからホントに付き合ってみたくなって」
「普通なんねーだろ?!」
宮町は合間合間にポテトを食べていた手を止めた。
「なったんですよ。すごいワクワクしたんですもん、一緒に遊びたいなって。初恋ですよ」
初恋とか。
なんか急に、こいつ真剣に言ってんだなって思えた。
今までふざけてたのも、本気でふざけてたんだなって。
楽しかったんだなって。
「初恋相手に選んでもらって、なんつーか、光栄だ」
つられて俺も、マジになって返してた。
俺もこいつと遊ぶの楽しいんだよ。
男っぽいし背高いから、女子だとか後輩だとか関係なしに気楽につるめる。
ふざけてるようにしか見えなかったやつが実はちゃんと恋とかしててくれてたなんて、正直光栄、なんだけど。
……ちょっと待て。
「初恋なのに彼女になりたくないって、矛盾してねーか?」
聞くと、宮町は無言でポテトをむさぼり始める。
「おい、なんで無視すんだ」
「だって私、彼女になるとか無理じゃないですか」
怒ったようにポテトを食べ続ける宮町。
ちょっとおもしろいし、なんかかわいい。
かわいいって言っても、かわいらしいじゃない、愛嬌あるって言うか。
「あぁ、彼女になんの無理なのわかる。女って感じしないもんな」
思ったこと、うっかり言ってしまった。
女に女っぽくないって言うのは失礼だったか?
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