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友人その一の夏美は活発で元気がいいタイプ、友人その二の苺はどちらかというとおとなしくておっとりしたタイプ。どちらもかなり性格は違うというのに、どうやら男の趣味は似たりよったりであったらしい。
アレのどのへんがいいんだろう、と香帆は思わずにはいられない。ヤツがいいのは顔だけだ。あと成績と――ああ、そういえば運動神経もそこそこだったと思うけどそれだけである。社交性ゼロ。空気読む気ゼロ。女心なんて理解する気もないし、熱意を持って何かに打ち込むような熱血タイプからは一番程遠い。一緒にいたって全然楽しくなさそうなあんな男の、どのへんが彼女達はいいというのだろう。
「香帆ちゃん分かってないな!それがいいんじゃないの!」
そんな反論をすれば、すぐさま夏美のきっぱりとした声が飛んでくるのである。
「ローテンションってのは落ち着いてるってことでもあるわけ!落ち着いた大人の男性に守られたい系女子は結構いるわけ!つかイザって時に頼りになりそうじゃん?その上で聖君はイケメンだよ?眼もキリっとしてるし、成績もいいし、文句なんかある?いや、あるはずがなーい!!」
「ええええええ~……?」
あるはずがないというか、文句しかないんだが。本当に意味がわからない。香帆はなんとなく、再び彼がいなくなったドアの方へと視線を向けた。
おかしいと言えば、こうして昼休みを潰して隣のクラスに話を聞きに来るのもおかしいのだ。中学までの彼なら、昼休みはほとんど寝て過ごしていたはずである。昼休みにはぐっすり寝て充電しないと、午後の時間絶対もたないし無理なんだわ、と言っていたのは記憶に新しい。その彼が、昼休みを使ってまで自分のところに情報収集しに来た――オカルト研究会の為に。これはどう考えてもおかしいことではないだろうか。
「まあ、でも香帆ちゃんがおかしいなーって思うのはちょっとわかるかな」
首を捻っていると、意外なところから援護が出る。おっとりした苺だ。
「どちらかというと、聖君本人というより……オカルト研究会が、ってところなんだけどねえ。香帆ちゃん新聞部だから知ってるかな。うちの学校のオカルト研究会って、他の部活と比べても随分特殊なんだよね。何が一番気になるのかといえば、隣のクラス……1年E組の子は、殆どオカルト研究会の所属してるって話だよ?」
「え、そうなの?……篠原とか美濃とか、あのへんの男子サッカー部じゃなかった?あと女バスのりっちゃんとか」
「そうなんだけど、オカルト研究会と兼部して他の部活もやってるってことみたいなの。……でも、サッカー部とかバスケ部とかって運動部だし、滅茶苦茶忙しいでしょ?なんでオカ研と兼業しないといけないのかなあってずっと思ってたんだよね。というか、確かうちの運動部って、基本的には兼部不可だった気がするしパンプレットにもそう書いてあったと思うのに……あれオカ研ならいいのかな?って思ってたんだ」
「あーその話あたしも聞いたことあるわ」
ほいほい、と夏美も話に加わってくる。
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