三時の情事

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「どうかと思いますよ?いくら三時の休憩時間を利用っていっても、就業時間中です。こんな、こんなことに社長室を使って!」 「...すみません...。」  シュンとなって頭を垂れる社長。しまった、強く言いすぎた。だけど、ねぇ?会社でこんな事を!  毎日のように午後三時に社長室で繰り広げられていたのは、高藤さんを筆頭に三課の三名の撮影会だった。 「いや、最初は普通に一緒に写真を撮ってただけだったんだよ...」  そう言って恥ずかしそうな高藤さんも、超レアですけどね。 「そうなの、それで、ちょっと、ちょーっとだけリクエストしたら、ねえ?」 「そうそう、あんまりにも素敵だったから、つい、ねえ?」 「うん、ですよね?社長?」  お姉さま方、ここは会社ですよ?社長も! 「うん?ああ、いやっ、まあ、その、何だ、これで業務が円滑に、社員の士気が上がるのであれば...」  ギロッと視線を社長に向けたら、何だかモゴモゴとそれらしい言い訳を呟いている。  最初は普通に写真を撮っていたのが、あっという間にコスプレ大会になっていったらしい。それもこれも事の発端は...。 「段々エスカレートしてきたから、どうしようかと困ってたんだけどね。まあ、これで藤崎さんを助けられるならって思って...。」  うわぁーん、高藤さんの勿体ないお言葉!そう、事の発端は私への嫌がらせを回避するため、お姉さま方との写真撮影に高藤さんが応じた事がきっかけだったらしい。  だけど、ねえ?こんな会社って...どうなのよ。そんなコスプレ撮影会だなんて...うっ、羨ましい...じゃなかった、ダメでしょ! 「うん、まあ、そうだな!毎日は困るけど、たまにだったら良いんじゃないか?」  って、社長?!良いんですか?!  その後、毎月三日の午後三時、三課の三名の撮影会が、タクボ建設の恒例行事となった、とか?! 〈end〉
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