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やり過ごせるのか……?
凪が胸を撫で下ろそうとした時だった。遠くからお囃子が聴こえる。
その音に反応したのは凪だけではない。白い何かも上体を音がした方向に向けている。そして、細い八本の脚が一斉に動き始めた。
あっという間に凪との距離が生まれ、その白い背中が小さくなる。
「待てっ!」
凪は大声を上げていた。
白い何かが立ち止まることはない。凪の視界には、もう白い何かは居なかった。
その背中を追うように凪は走り始めた。白い何かが目指しているのは恵比寿神社だろう。残った町人で御神楽の練習をするのだ、と歌夜が言っていたことを思い出す。
「行くなっ!」
凪は走りながら大声をあげていた。
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