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……せめて歌夜だけでも助かっていてくれ。
「歌夜……、歌夜……、歌夜……、歌夜っ!」
恵比寿神社の境内に辿り着き、敷き詰められた玉砂利を踏む。
呼吸を整えることさえ忘れた。境内が見事に破壊されている。
かがり火の台は倒れてしまい、松明が地面に投げ出されていた。
その光景に微動だにできなかったのは、その所為ではなかった。
白い何かが境内の中央にいる。
猿彦を飲み込んだ時と同じように、口から二本の脚が伸びていた。
見覚えのある綺麗な細い脚。
気に入っていた藤色の小袖。
歌夜の笑顔が脳裏に浮かぶ。
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