四百年ほど昔(1)

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 その揺れは一層激しくなった。そこで漸く揺れているのが自分ではなく周囲の方だと、凪は気がつく。 「……地震?」  その揺れが本殿に置かれていた木製の棚から物を振り落とした。凪は姿勢を保つことが出来なくなり、石棺の縁を片手で握ってなんとか堪えようとする。  幾つかの棚が勢いよく床に倒れ、更に激しい音が部屋のあらゆる所から響き始めた時だ。  凪は頭上から訪れた強い衝撃に押し潰されていた。  それが唐突すぎた為、何が起きたのか理解できない。躰を起こそうとしたが白い何かとの間で圧迫されて、手足を自由に動かす事ができなかった。  指先を何とか動かし、背中側に覆いかぶさっている固く冷たい物に触れる。
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