117人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
「だから、何を言いたいんです？」
女性の眉間に刻まれた皺が更に深くなった。
「泥棒としては駆け出しの僕は、失敗しないように入念に準備を行っているんだ。下調べもバッチリ。実はね……、ここに来るのも二度目なんだ」
女性が大きな双眸を見開いていた。
「君が身に着けている物や持っている薙刀は、この家にあったよね。拝借しただけなんだろう？ この屋敷は住人なんていない筈なんだ。なぜなら、ずっと空き家なんだから」
「今日、引っ越してきたばかりなのよ」
と、女性が嘯く。
「海外から？」
椎名は再び訊いた。
「どうして海外なの？」
最初のコメントを投稿しよう！