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「妙な夜だな。この天候ならもっと獲れても良いはずだけれど……」
何かの前触れではないだろうか? とつい勘繰ってしまう。
「人も居ないのだから、多く獲れた所で仕方がないか」
そう考えながら、凪は持ってきた竹籠に網の中の魚を入れていった。
魚の姿が見えなくなったところで、竹籠の中を覗き込む。
これぐらいあれば、家族の分と近所に配れるぐらいはあるだろう。
そう考えた凪の脳裏に真っ先に浮かんだのは、隣家に住んでいる幼馴染の歌夜の姿だ。
凪の記憶の始まりには歌夜が居た。お互いの家を行き来し、一緒に森や渓流、海辺で遊んだ仲だ。
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