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「家に土足で上がるのは海外の人か、……ぐらいかな、って思ってね。僕は後者だと思っているんだけれど。どうかな?」  その女性が口を真一文字に結ぶ。それが失敗を自覚した表情なのか悔しがっているのかは分からない。 「紺色の馬乗袴にそのド派手なスニーカーは、目立ちすぎたね」  椎名は指を一本立てて、女性の足元を指した。女性が履いているのはパッションピンクのスニーカーだ。 「……ねえ」  女性が急に口角を上げて言った。 「その本をコピーさせてもらえない?」 「君もこれが目的だったわけか」  そう応えた椎名は豊府聞書を片手で掲げて、振って見せた。
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