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「そういう貴方もその本に載っている情報が必要なんでしょ? 四百年前に別府湾に存在し、一夜にして沈んだとされる雨竜島のことが載っているんだから」
女性が挑発するように言った。
「へえ」
椎名は関心するように応えてから一言添える。
「君が知りたいのは雨竜島のことだけなんだね?」
その瞬間、女性の大きな双眸がほんの少し見開かれた気がした。
「貴方はどこまで知っているの?」
「……まあ、雨竜島が海に沈んだ日の事なら昔話で聞いた事があるけれど」
「そうじゃなくて……」
椎名の飄々とした態度に苛立ちを募らせたのか、女性が口を滑らせた。
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