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「雨竜島から持ち去られたとされる物のことよ。それが一体何だったのか? どこに運び込まれたのか? それに関してその本に記載されているんでしょ?」
椎名はこの屋敷に盗みに入った経緯を思い出していた。
発端はインターネット上の闇サイトに投稿されていた一つの記事だ。
その闇サイトは盗みのネタを提供するもので、真偽のほどは定かではないが匿名で毎日のように情報が書き込まれている。
その情報の中の一つに椎名の食指を動かす物があった。
四百年前に別府湾に消えた雨竜島から持ち出された、価値のある物。その所在が豊府聞書の原本に記載されているという。人間にとっては夢の一つであり莫大な富を産む可能性があると。
泥棒として名を馳せたいと考えていた椎名は豊府聞書の原本の情報を集めた。
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