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 その結果として手に入れたのが、この屋敷の持ち主が所蔵していたという情報だ。  金庫の中に保管されている、と。  当の持ち主は、借金でもあったのか夜逃げ同然にこの屋敷から居なくなったそうだ。家財道具などはそのままに。 「それなら話は早いね。実際に読んでみない?」  椎名は女性の返答を待たずに豊府聞書の原本を開いた。  頁を捲り、そして、捲る。 「これはどういうことだろう……」  椎名は首を傾げていた。 「何が書いてあったの?」 「いや。実は読めなくて」  女性が大きなため息を吐いた。 「もしかして馬鹿なの?」
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