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海に浮かぶ島の中で一点だけ強い輝きを放っている場所があった。島の西側にある丘の中腹ほど、恵比寿神社がある場所だ。
「社を照らす松明の光か」
凪は目を細めた。
「そう言えば、歌夜が夏祭りで奉納する御神楽の稽古をするとか言っていたな」
漁に出る前、すれ違った歌夜の姿を思い出す。
ただ今夜の島の状況では、人は集まらないかもしれないな、と眉をひそめていた。
そんな状況を作り出したのが、猿彦の悪戯だ。
雨竜島にはこんな言い伝えがあった。
『この島で諍いを起こす者あらば、神仏の怒りで島は海に沈むであろう』
その顕れとされたのが、恵比寿神社に奉納されている恵比寿様の像だ。
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