やってはいけない錬金術

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 働きたくない。  ネコみたいに一日中ごろごろしていたい。  そんなわがままをかなえてくれる、夢のようなアイテム「賢者の石」。  俺はそれを作りたくて、とある錬金術師に弟子入りした。  師事して数年後。 「ついに完成したよ」  師匠が慎重に釜から石を取り出す。 「やりましたね、師匠……あっ」  俺は受け取ろうとしたが、石は床に落ちた。  瞬間、まばゆい光が視界を奪う。  光がおさまり、視力が戻るまでしばらくかかった。  いつの間に侵入したのか、異形の怪物が俺の目の前に鎮座していた。  タコみたいなイカみたいな、とにかくたくさんの触手をくねらせ、俺をねめつけている。 「し、師匠ー!?」 「うむ、私だ」  俺の情けない悲鳴に、目の前の怪物が返事した。  ええー……。
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