どちらも大好き

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お祖母ちゃんに 昼食のお礼をいい
羽奈と2人で 羽奈の家近くの公園へ。

『咲良さぁ、最後、
どうして むぅっとしてたの？』

『えー？してた？(笑)。』

……お祖母ちゃんにママの話題を出したから
また「郁ちゃんが お母さんになってくれて
あなたは 本当に幸せよ？」って言われた。
もう何回も聞いてるけど
その度に 2つの矛盾した気持ちを感じるんだ。
羽奈はよく見てるなー。

羽奈のそれには答えず
私は 話題を変えた。

『お祖母ちゃん、
丸くなったなーって思ったんだけど
相変わらずレッスン中は 厳しい？』

『うん。練習して行かないとすぐに見抜かれるし
練習してっても 全然ダメな時は
未だに 家に連絡されるよ(笑)。』

『わー（笑）やだ。』

『咲良はもうピアノやんないの？
郁ちゃんのレッスン受ければ？(笑)』

『んー。
中学の合唱コンクールの伴奏した時は
お母さんにみてもらったけど。
レッスンに通うなら
他のお教室探そ？って言われそう。

お母さんの教室と
お祖母ちゃんの教室は 目的が違うんだって。』

『どっちもピアノの教室でしょ？』

『お母さんの生徒、
ピアノのレッスンは今は数人なんだけど
お母さんのリトミック教室に通っている子か
卒業した子 限定なんだって。
基本はリトミックで、
そこから器楽とソルフェージュに繋げる……
みたいなこと言ってたよ？』

技術的なことを教えるんじゃなくて
音楽を通して 色んなことを身につける、
音楽って楽しいって思える導入が目的。
音大やコンクール等の
本格的なレッスン希望の方は、
ここは向きませんって
体験レッスンの時に説明してる。

『小さい子には 郁ちゃんのレッスン楽しそう！
何しても 褒めてくれそうじゃん？
……あれ？
咲良って 郁ちゃんに怒られることあるの？
全く怒らなさそうだけど。』

『あるある。
何回も怒られてるよ。』

『えー！意外っ！
どんなことで？
1番思い出深い 怒られたことは？』

『ひとの悪口を言うと すっごい怒られる。
合う合わないは絶対あるし
苦手な人も居て当たり前だけど
だからって
悪く言って良いことにはならないんだよって。
ひとを傷つける言葉は ぐっと我慢しなさい。
良い所を見つけて ステキだねって言うほうが
みんなが 気持ちいいでしょ？って。』

『まあ、そうだけど。
文句言いたい時もあるよね。』

『その時に言われたのが
自分の大切な人を悪く言われたらどう思う？って。
私の嫌いな人にも、
その人を大切に想ってる人が
絶対にいるんだって言われて
すごく考えさせられた。』

『ほー。深いなぁ。
……郁ちゃんと咲良、ホントの母娘みたいだよ？
だから 遠慮しないで 言いたいとこは言うんだ！
なーんて 。
私が言って良いのか分かんないけどさ。』

……遠慮してるのは お母さんなんだけどなぁ。

でも。
羽奈に ホントの母娘って言ってもらって
嬉しい気持ちの方が大きい。