253人が本棚に入れています
本棚に追加
集合場所の化学室には
大きなテーブルが 6つある。
指定されたグループ毎に分かれ
早速、作業を始める。
『ベルマークってさぁ
なんでこんなに細かい点数にするんだろう。』
『価格に合わせて ついてるからじゃないの?』
『商品につける時から
小数点以下、切り捨てでよくなーい?
整数でサクサク 数えたいのよー!』
羽奈にグチグチ言うのを
同じグループの 男子委員に笑われながらも
ちまちま 集計してると
後ろから手が伸びてきた。
『適当に手に取った順に足すから
面倒で、計算しにくいんだよ。
まず仕分け。』
……えらそーに。
『来るの遅くない?』
振り向き、軽く睨むと
奈央は 私の隣の椅子に座りながら
「食堂が混んでたんだよ。」と シレッと言う。
『私なんか お弁当残して
こっち優先させたのにー。』
『どう考えてもメシ優先だろ。
さく、間違えたな(笑)。』
『そんな訳で、
お昼食べる時間が少なくて。
半分くらい 残しちゃった。』
帰宅して お弁当箱を出す時に 言い訳すると
お母さんは くすくす笑い、それを受け取った。
そして じゃあお腹すいてるね〜と言い、
おやつにパンケーキを焼いてくれた。
『いただきまーす!』
『はい、どうぞ♪︎』
私の前には厚めのパンケーキとミルクティ。
自分の前には ミルクティだけ置いて
お母さんは 私の正面の席に座った。
『集計の日が今日って忘れてたから
のんびり食べてたら間に合わなかったってことね。
羽奈ちゃんと 同じ委員で良かったね。』
『羽奈はいいけどーー。
奈央までいるから
私たちの班、ウルサイって 目ー付けられてる。』
『奈央ちゃんじゃなくて
言い返す咲良がウルサイんでしょう?(笑)。
小学生の頃のまんまなのね。』
……まぁ、そうですけどね。
羽奈と 奈央は 二卵性双生児。
見た目も性格も全然違う。
高校で知り合った友達の中には
双子だって 聞いて 驚いてた子も いたくらい。
羽奈と奈央と 私の出会いは 3歳の時。
私のママは 私が3歳の時に 出ていって
お父さんと 私は お父さんの実家へ引っ越した。
その家では お祖母ちゃんが ピアノ教室をしてて
羽奈と 奈央は そこの生徒だった。
……羽奈達は現在も続けてるから、
過去形じゃおかしいか。
奈央は コントラバスを本格的に習い始めた時から
ピアノのレッスンは 減ったけど
それでも 音大目指して 頑張ってる。
ちなみに 私は お祖母ちゃんの
きびしーーいレッスンは 合わず
自宅がピアノ教室なのに
わざわざ大手ピアノ教室に通ってた。
たまたま、幼稚園も一緒で
私が お祖父ちゃんの家に住むようになった時に
1番にできた友達で
自他ともに認める人見知りな私が
唯一自分からぺったり くっついて行ってたのが
羽奈と 奈央。
小学生の時も 3人で居ることが多かった。
高学年になる頃には
羽奈と私は 少年団の吹奏楽にハマり
休みの日も とにかく 一緒だった。
お父さんと お母さんが
私の中学入学を機に再婚してからは
私たちは3人で 別の家に住んでるから
中学の3年間は 少し離れたけど
お祖母ちゃんの家に行った時に会ったり
ピアノの発表会で 会ったりしてた。
羽奈と
「一緒の高校行こうねー!」って連絡を取り合って
志望校を一緒にしたら
奈央まで 願書提出直前になって
同じところを受験するって言い出して
すっごく ビックリしたけど。
結局 また 3人一緒で
それぞれクラスは違うけど、委員会まで一緒。
羽奈と 私は 部活も一緒の吹奏楽部。
うん。なかなか楽しい毎日だ。
最初のコメントを投稿しよう!