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中間テスト最終日の放課後。 試験から解放された私達は スッキリした顔の人 後悔を滲ませる人、 それぞれの思いを抱えながら 次の活動へ。 『はぁ。』 『咲良。試験、ヤバイの?』 部活の準備をしながら 羽奈は 私の小さなため息を見逃さなかった。 音楽室の重い机を全て壁側に移動させ 吹奏楽部仕様の 所謂オーケストラ風な座席を作るのは1年の役目。 ここ風高の吹奏楽部は とても厳しくて有名。 無駄口を叩いていると 楽器に触れることはおろか 音楽室への 立ち入りを 禁止されてしまうことだってある。 私は 周りの先輩たちをこっそり見渡してから 羽奈に 「あとで。」と小さく 口パクで 伝えた。 「りょ。」 羽奈からも 口パクで 返事がくる。 ……1回で伝わった。さすが羽奈。 みっちり 練習をした 帰り道。 外にでると 制服だけでは 少し肌寒い。 昼間は暑いくらいなのに。 高校から最寄り駅までは 吹部の友達数人で おしゃべりしながら歩く。 ……なんか テンション上がらないなぁ。 帰るの イヤかも。 ため息をつきながら駅の改札前で ごそごそと パスケースを探してると 羽奈が 奈央を見つけた。 『あれ。なーおー! なんで まだ 駅にいるの。レッスンは?』 『先生んちの チビが 熱出したから ナシになった。』 『えー。 楽器持ったまま ウロウロしてたの?(笑)』 『さっきまで サイゼに 居たから。』 『えーっ!ずるーい! ……咲良、サイゼいく?』 くるっと 振り返った 羽奈は にっこり笑って そう言った。 『いく♡』 『決まりー!奈央も!行くよ!』 『いやいや。今まで 居たんだって。』 『さっきのは おやつでしょ? ママに ご飯食べて帰るって連絡して。 私だったら 怒られるけど奈央が言えば 「もー。早く言ってよ。」で済むから。』 (はな)に無駄に逆らわない奈央は 背負った楽器(コントラバス)を丁寧におろし スマホを耳にあてた。 『飯食って帰る。 ……羽奈と さく。 ……うん。ゴメン。 ほい。許可とったから 行くぞ。』 『……ちゃんと お母さんに ゴメンって言うの 奈央、変わらないねー。えらい。』 『郁ちゃんに ゴメンって 言い難い?』 『(おかあさん)ちゃん に限らず、お父さんにもだけど。 あ。つまんないことなら言える。 重大な時ほど ゴメンなさいって 言えない、かな。』 『今のは “つまんないこと”じゃん(笑)。』 ……そうだけどさ。
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