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夏休みに入ってすぐ ママから お誘いがあった。 ママは 私が中学生になって お父さんが 再婚してから 時々 私に泊まりにおいでって連絡をしてくる。 最初は えーー。なに今更。って思ってたけど 時々会うママは 優しいし お父さんも お母さんも 行っておいでって 快く送り出してくれるから 誘われれば遊びに行くようになった。 『お母さん。今日、ママから電話があって、 8月の最初の土曜日に 泊まりに行くことになったから。 部活の後、直接 あっちに行くねー。』 一瞬、お母さんの顔が 「え。」って曇ったのが気になったけど そのあと、いつも通りのお母さんだったから すぐに忘れてた。 ママの所に遊びに行く日。 ママが 高校の近くまで 迎えに来てくれるって言うから 待ち合わせ場所で1人で待っていると 部活が終わった奈央が通りかかった。 『ぼっち?』 『ぼっち じゃないし!(笑)。 さっきまで羽奈たちも居たよ!』 奈央を パシッと叩きながら もうすぐママが来ることを伝えると 友達に先に帰ってもらい 一緒に 待ってくれた。 『さくはさぁ、 郁ちゃんのことはお母さんで ママは ママじゃん? お母さんに揃えて おじちゃんのことは お父さん?』 『え、揃えてってことは無いんだけど。 うち、お祖母ちゃんが キビシイじゃん?』 『うん(笑)。』 『一緒に住んでる時 言葉遣いとか、めっちゃ注意されてて。 小学校高学年くらいのときかなー。 パパって赤ちゃんみたいな言い方をやめて いい加減、お父さんにしなさい!って。 だから パパから お父さんにシフトしたのは その時だねー。 あはは!いま思い出した! 郁ちゃんって呼んでたのを “お母さん”に変えたのも お祖母ちゃんに、籍入れてすぐくらいに 「いつまで郁ちゃんって呼ぶの。」って 注意された時だ(笑)。 ちなみに、その時、お母さんも怒られたんだよ。』 『郁ちゃんが ばぁちゃんに? なんで?』 『私のこと、ちゃん付けで呼んでたから。』 『あー(笑)。ばぁちゃん、怖いな。』 『うん。でもお母さんとは ずっと仲良しだよー。』 ……お祖母ちゃんは ママのことはキライっぽいけどね。 『で、ママは ……考えたことなかったけど ママ以外の呼び方が ないから、かなぁ。』 『ふーん。』 『何その反応。 へん?』 『んー。……いや。 何でもない。』 「なによー!気になるから言ってよ!」って 奈央に詰め寄っても 「なんでもないって。」ってあしらわれてると 目の前にママの車が停まった。
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