夏の始まる頃

5/8
前へ
/75ページ
次へ
「あっ!健斗が海から上がりそう。 ちょっと行ってくるね」 タオルを持ちながら静香は健斗の方に向かう。 そろそろ涼馬先輩も上がってくるのかな。 海の方へ目線を向けると、涼馬先輩がウェットスーツの袖を抜きながら こちらへきた。 「美緒、タオルちょうだい」 「あ、はい…」タオルを渡す。 髪の毛から滴る海水をタオルで 拭く。 タオルで拭ききれない海水が 首筋から胸元へ流れていく。 暑い太陽の日差しで、ほどよく小麦色に焼けた肌が眩しく、二の腕はしっかりと筋肉が引き締まっている。 腹筋も割れて、つい触れてしまいたい感情が出てくる。 「ふっ、美緒…見すぎ」 まんざらでもないような顔をする 涼馬先輩。 「ひゃぁ、そ、んな事ないです」 じーっと見てしまったと耳まで 赤く染め否定した。 「俺、着替えるから、みんなのところに行こう」 サーフボードを持つと美緒に おいでと声をかけた。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

134人が本棚に入れています
本棚に追加