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成人していれば、Ωは全ての人間が恋愛対象になる。彼らが放つフェロモンに、全ての人間が惑わされる。
そのΩの中でも悠は飛び抜けて愛らしい。
半端なく愛らしい、俺のツガイ。
ツガイは運命の相手。性のヒエラルキーの上位αと下位のΩの間にだけ現れる。男女は関係ない。Ωはどんな相手とでも子を成すことができる。
ツガイと出会ってしまったら、離れることはできない。誰にも渡したくはないし、できることなら誰にも見せたくない。
俺だけの悠。
他者の視線を遮るべく、悠の背後に立ち、頭の後ろにあったフードをまたかぶらせる。できるだけ顔が隠れるように、深く深く。
「何すんだよ」
こちらを向いてフードを持ち上げ、怒ったように言う。その様子が思っていた以上に愛くるしい……。
「送っていく」
肩を抱き耳元で言うと、悠の瞳がキラキラと輝く。
でも、はっとしたようにこちらに背を向け、また線路の方を向くと、フードを引っ張り自分で顔を隠した。
「いい……、ひとりで帰れる……」
うつむき、絞り出すような声。その様子は、周囲を無視して担いで家に連れ帰ろうかと思ってしまう。
でも、今は悠の気持ちを優先しよう。
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