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4・ギルド試験と不穏な影
訪れたのは塔より、やや南に向かった先にあるフラべ湿地帯。
太古から多様な生命が息づくフラべ原生林や、光の届かない程に生い茂った原生林の中で、暗闇のみを環境として生きる無光域の生命が跋扈するフラべ沼地。
水棲生物が織り成す食物連鎖豊富なテクヌス川。
様々な環境下では常に、新旧の生命が入れ替わり立ち替わりで順応していく。
最も多様な生命が息吹く地。
「もう少しかかるから、水分はしっかりとっておけ」
シェーンが皮袋に入れてある水を私達に渡す。
それぞれの分を準備してくれており、食糧もポーチに入れてあるとか。
頼りになる先輩。
「一応、火属性魔法は辞めておきな。原生林が火事になったら、ここの全ての生き物を敵に回すことになるからね」
シェーンが私達にフラべ湿地帯での注意点をご教授してくれる。
「細かい事は気にせず、ばしばし鍛えればいいではないか」
ギルドマスターが胡座に肘をつき、威風堂々と構える。
「それでついてこれるなら苦労はしないさね」
シェーンも胡座をかいているが、両腕は後頭部に回して、もたれ掛かった。
「まぁ、まずは咎に慣れるとこからだ。初日はなんかあれば助けてやるから」
シェーンは当たり前のように言うが、2日目からは手伝わないつもりなのだろうか。
「不安になってきたぁ」
私は周囲を見回しながら呟いた。
次第に空は曇天に覆われて、光が薄く薄く影らいでいく。
「ようこそ、フラべ湿地帯へ」
シェーンは軽く微笑んで、歓迎するように立ち上がった。
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