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キィィィン――。
リアの光は一瞬だけ刀の形になると、オーガの鎧に弾かれる。
「思ったより硬いんやね。骨が折れるわぁ」
オーガの1太刀がリアを襲うが、すらりと舞い、寸でのところで躱す。
リアを辿るように流れる光の粒子が、オーガの刀で消え失せる。
「なぁーるほど……」
リアは一旦距離を置き、大声で声を上げた。
「ティアラ、手伝って!」
「えっ、そんなにやばいの?」
「うち1人じゃ、骨が折れそうやねん」
「うん、じゃあ撹乱するくらいでいいよね」
「十分」
私は腰からロッドを抜き取り、魔法陣を描く。
「七星の燕」
3羽の燕が宙を舞う。
漆喰のような煌びやかな黒が、腕を伸ばした私の腕を並ぶ。
「たぶんこういう使い方と違いそうだけど、使わせてもらうね」
私が指先で空気を撫でるように持ち上げ、掌を下に向けて人差し指をたてた。
「行きなさい」
私の号令に合わせて、燕が黒線を描いて、交わるように宙を切る。
燕はオーガの視界に切り裂くと、黒い線影を残して、リアの姿を隠す。
「ウガァァオォォ!」
オーガが咆哮し、刀を振り回すと、線影は消え失せて、リアが切っ先をたてて、飛び出す。
キィィィン――。
寸でのところでオーガは腕を持ち上げて、リアの1太刀を受け止めた。
そしてその視界にまた燕。
今度は目の前で滞空して、オーガの視界を完全に塞ぎながら、首を傾げる。
咆哮を重ねて、燕に刀を向けるが、燕は瞬間、飛び去るとまた線影を残す。
「もらったで」
リアがその線影をなぞるように光の太刀を振るう。
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