7・黒翼刀

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「……だめだ。こりゃ妖刀の類だな」 「妖刀?」  クィールが刀を念入りに調べて諦めるように尻もちをついた。 「曰く付きの刀の事だよ。基本的には代償を払うことで強大な力を得るが、代償を払わなければただのなまくら刀だ」 「そんなのあるんだ」  正直、魔法の関わらないことはあまり詳しくない。 「弟なら触れられるかもしれないが」  クィールは溜息とともに寝転がって、刀を眺めている。 「弟がいるんだね」 「あぁ、剣士学校に通ってるんだが、そこで与えられた適正が『妖刀使い』っていう、これまた特殊な適正らしくてな」 「学校……」  剣士を目指す学生。  随分、都合よく舞い降りた話だけど、私達が求めている人材。  弟さんがどうこうというよりは、剣士学校と繋がりが出来るのはありがたい。  なにより妖刀使いというのが気になる。 「妖刀使いってどんな適正なんですか?」 「弟曰く、妖刀を手にしても代償を払わずにその強大な力を扱えるらしいが、兄としては心配だな……」  クィールは続けた。 「妖刀のような強大な力は魅力的だからな。代償を払わなくていいにしても、その力に魅了されてしまうことはあると思うんだ」 「確かに……」 「だから、弟にはなるべく妖刀のような刀は持たせたくはないんだ」  クィールは萎れたような表情で空を見上げている。  本当に心配をしているのが、見て取れた。  あわよくば弟さんにこの刀を渡して、パーティーにするのもありと思っていたがそれは難しい。  普段は、(たぶん)偉そうなクィールがこんな表情をするなら、望んではいないはず。 「ひとまず弟さんに会ってみてもいいですか?」  剣士学校との繋がりを持つ為に、程度の気持ちで会うことにしよう。 「んっ、たぶん授業が終われば、会えるはずだぞ」
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