375人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
「千年宝石は確認されている情報では、アダマンタイマンという巨大な亀の甲羅にあるとかないとか。そしてその千年宝石を守るように植人種が甲羅に住み着いているらしい」
「植人種から千年草をとってくるってこと?」
「そう、だけど、そう簡単ではないぞ。アダマンタイマン自体、Aランクに属する咎であり、植人種も平均するとAランクに属している。学生が相手して適うとか到底思えない」
学校長は、これでもかと言わんばかりにクィートの肩に両手を乗せて、握りしめた。
「それでも、行ってくれるか?」
「……はぁ」
クィートは曖昧に相槌を返して、私と目が合った。
私は軽く頷いて、「行こう!」と微笑んだ。
クィートは無表情のまま、頬を指で掻きむしると少し口角が緩んで、「いい経験になりそうですし」と学校長の依頼を快諾した。
「ははぁん……」
このとき、クィートの様子を見ていたリアから、悪どい笑顔が滲み出てくるのを、シエラだけが見ていた。
(複雑な感じになりそうですね……)
私はそんなことには気付かず、クィートを迎えたことを素直に喜んだ。
クィートも照れくさそうに顔を赤くして、少し私達に慣れてきたのかなと感じていたが。
「くっくっくっ……」
リアのあまりにも闇を孕んだ笑い声は、勿論、シエラにしか届いていない。
最初のコメントを投稿しよう!