7・黒翼刀

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ここから始まる冒険が、私達にとって、唯一無二の経験になることなんて、4人はまだ知らない。  場所は移り、学園長室。  そこに訪れたのは学校長だった。 「なるほど。妖刀使いですか。確かに面白いですが、やや不協和音ではないですか?」 「そんなことはない。彼は優秀だし、妖刀の制御にかけては無限の可能性を秘めている」 「というと?」 「彼は妖刀使い以外にも、ある物を持っている」  学校長の言い回しに、学園長は1つだけ予想を立てた。 「精霊紋……ということですか」 「そうだ」 「なるほど。実はティアラさんにも、精霊紋があるんです」 「あぁ、それなら聞いている」  精霊紋。  精霊の加護を受けた者が、証として身体のどこかにその紋を刻まれると言われている。 「クィートは第3紋まで刻まれている」 「ティアラさんは第5紋までと聞いています」 「これもまた運命だろうな」 「そうですね。……今はただ見守ることしか出来ませんね」  2人の曰く、精霊紋は世界の危機を予期した精霊が、優れた人間に危機を乗り越える力を与えるために授ける贈り物(ギフト)。  その力はかつて、ミリアリアが授かっていたとされている。 「ところで、学校長。もしかしてとは思うのですが」 「ん、どうやら尾行されていたか」  何かに気付いた2人が微動だにせず、何かを見つけると、突然魔法陣が部屋中に発動して、隠れていた隠密を魔法で拘束する。 「こいつは……ややこしい輩が入り込んできたな」 「学園は心配しなくて大丈夫ですよ。ただ、このタイミング、ティアラさん達が心配ですね」  紛れ込んだ不協和音。  そんなことを知らない私達は、既に外界に向けて出発していた。
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