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ここから始まる冒険が、私達にとって、唯一無二の経験になることなんて、4人はまだ知らない。
場所は移り、学園長室。
そこに訪れたのは学校長だった。
「なるほど。妖刀使いですか。確かに面白いですが、やや不協和音ではないですか?」
「そんなことはない。彼は優秀だし、妖刀の制御にかけては無限の可能性を秘めている」
「というと?」
「彼は妖刀使い以外にも、ある物を持っている」
学校長の言い回しに、学園長は1つだけ予想を立てた。
「精霊紋……ということですか」
「そうだ」
「なるほど。実はティアラさんにも、精霊紋があるんです」
「あぁ、それなら聞いている」
精霊紋。
精霊の加護を受けた者が、証として身体のどこかにその紋を刻まれると言われている。
「クィートは第3紋まで刻まれている」
「ティアラさんは第5紋までと聞いています」
「これもまた運命だろうな」
「そうですね。……今はただ見守ることしか出来ませんね」
2人の曰く、精霊紋は世界の危機を予期した精霊が、優れた人間に危機を乗り越える力を与えるために授ける贈り物。
その力はかつて、ミリアリアが授かっていたとされている。
「ところで、学校長。もしかしてとは思うのですが」
「ん、どうやら尾行されていたか」
何かに気付いた2人が微動だにせず、何かを見つけると、突然魔法陣が部屋中に発動して、隠れていた隠密を魔法で拘束する。
「こいつは……ややこしい輩が入り込んできたな」
「学園は心配しなくて大丈夫ですよ。ただ、このタイミング、ティアラさん達が心配ですね」
紛れ込んだ不協和音。
そんなことを知らない私達は、既に外界に向けて出発していた。
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