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「次、うちから返信するんやね?」
シエラは頷いて、私もそれに興味を示す。
燕はリアから魔力を吸い取ると、私の頭上に飛んできて、肩に舞い降りた。
燕から魔力を受け取ると、脳内で魔力はリアの声に置き換わり、私にメッセージを届けてくれた。
それで私も2人の懸念するところに気付く。
「リア、よく聞きぃ。クィート少年は誰かに操られとるかもしれんよ。恐らく媒体はネックレスやと思うけど、怪しい魔力の痕跡と、精神汚染が見えるから、気付かないふりをしとき。そのうち、尻尾出すやろ」
私はそのメッセージに、一瞬視線をクィートくんに移しかけたが、クィートくんの視線を感じて、視線を外した。
集中してみると、たしかにネックレスから嫌な魔力を感じる。
ねっとりとした闇を孕んだような感覚。
けれど、今がどうこうではなく、薄らとしていて、今現在にクィートくんが操作されているという感じはしなさそう。
「……これ凄いね! 便利な魔法だね!」
リアは安堵するような表情で、私に近付いてくると、肩を叩いて微笑みながら、「理解出来た?」と、不安を口にする。
私も笑顔で答えながら、「どうしたらいいの?」と聞き返して、リアは首を振る。
「尻尾掴むまでは大きく動かれへんから、そのまま気付かないふりをし続けるしかないと思う」
2人で頷いて、シエラも理解していることを教えてもらう。
私達は思わぬ不穏因子を招き入れたらしいけれど、精霊印の話をしてくれていたクィートくんに悪意は感じなかった。
常に操作されているわけではないとするならば、操作されている瞬間に気付かなかければならない。
「これから常にその燕をうちらに1匹ずつ付けれそう?」
「魔力消費を継続するタイプじゃないから、魔法に発動時間とかの条件がなければ可能だと思う」
常にこの燕で情報交換をしながら、魔力の変化を見続ければ、そのうち気付けるとリアは言う。
そしてリアはそういう操作魔法に対する反操作魔法を覚えているらしい。
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