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「ひとまずみんなにそれつけとき」
リアがそう伝えてきたので、私は一旦魔法を解除して、七星の燕をみんなにつけたいことを説明する。
勿論、魔力の質の話はなしにして。
「ええやんね」
「えぇ、とてもいいと思います、情報伝達が速やかになりますし、離れても居場所がわかるでしょうから」
リアとシエラは口裏を合わせて、同意する。
問題のクィートくんはというと、きょとんとしたまま、「いいですよ」と頷いた。
今のクィートくんに嫌な気配はしないので、操作していなければ、クィートくんの行動は識別出来ないのかもしれない。
魔力消費の激しい操作魔法は持続することが難しいとされている。
その隙に仕掛けられたなら、尻尾はすぐに掴めるかもしれない。
「ひとまずみんなに燕のせます」
「それにしてん、丁度3匹っていうのは出来すぎやんね」
「たしかにだね」
他愛のない話を挟んではいるけど、リアの警戒心と思考は止まっている様子はない。
仮に操作していないときに行動を把握出来ないなら、その間にクィートくんにその事実を伝えれば、対策も立てられるのではないかとも思うが、まだ確信には至らない。
それはリアもシエラもきっと考えているはず。
私より賢い2人。
私が口を出すのはおかしいと、私は自分を押し殺して、談笑に付き合う。
「それじゃあ、早いに越したことはないですし」
シエラが掌を打ち鳴らして、催促する。
たしかにいつ、また操作されるかもわからない。
早いに越したことはない。
「じゃあいくよ」
私は魔法陣を唱えると、燕が3人の頭上を周回するように飛び回り、それぞれの肩にとまる。
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