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「嫌な気配ですか?」
リアはクィートくんのネックレスを指さして、睨みつけるように顔を近づけた。
「これ、得体が知れんのよね。どういう代物なん?」
クィートくんはネックレスを撫でるように触れると、悲しそうに微笑んだ。
「これは、僕の父親の形見です。僕の父親が……封印されてます」
「……はっ?」
リアは虚をつかれたように固まったが、それは私達も同じく、言葉を失う。
「僕の父親は、ある魔王に戦いを挑んで、寸でのところまで追い込みましたが、敗れました。その際に呪いをかけられてしまい、こんな姿になってしまい、僕がそれを身に付けているということです」
「じゃあ……父親に操られとるん?」
「えっ? あーっとですね、操られているわけではないんですが、父親の人格が時々表に現れることはありますが。あれ? 出てました?」
「出てましたよ」
シエラが相槌をうって、クィートくんは頭をかきむしりながら、言葉を繋いだ。
「一応、僕の人格も半分は残っているんですけど、父親の性格は個性的なので、時々迷惑をかけてしまうかもしれないですね」
「その父親ってどんな人なの?」
話をぼやけさせるクィートくんに、思いっきり尋ねてみる。
「んー、大剣豪と言われていたらしいんですが、どうにもコミュ障だったみたいで……」
リアは豆鉄砲を食らった鳩、と言わんばかりに目を丸く見開いている。
「かなり高圧的な発言をするんですが、その度に落ち込んで帰ってきてました」
「えっと……」
「そして今も意識はこのネックレスに宿しているんですが、呪いの装備で、妖刀使いの効果が何故か働いていて、時々だけ、意識が支配されるんです」
「……そうなんや」
「はい」
「――はい。やあらへんでぇ!」
リアは突然発狂するように頭を抱えて、後ろ向きに倒れた。
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