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「これはミリアリアが発案した魔法、七星の燕です。燕からの情報を魔力を介して、私の下に集まるようになっています。この内の1羽は既に彼女達につけています。一応、支障がないようにオウル先生に隠形を加えて貰いましたが」
「……その魔法の許容限界はどれ程ですか?」
チチャは学園長の態度が気に入らない様子だが、冷静に話を頭に入れていく。
(これだから女狐は好きじゃない)
自身の思い通りに話が進まない相手をチチャは嫌う傾向にある。
「距離の問題なら無限と言っておきましょう。情報量も1年分位なら余裕を持って、対応出来るでしょうね」
「それでは十分な安全対策の下に、彼女達を外界に放ったということですね?」
「そうなりますね」
チチャはそれ以上は何も聞こうとはしなかった。
恐らく学園長の意図する方向にしか、話は向かわない。
絶大なる魔法と、話術、そして確固たる準備。
勿論、まだ叩けば埃は出てくるだろうが、それは問題ではない。
迫るティポグリフの問題も避けられない以上、ティアラ達のパーティーには力を付けてもらわねばならない。
チチャは全てを理解した上で、沈黙による承諾の意志を表して、それを学園長も無言で受け取った。
「それではこれから私達が立てられる対策を打ち出していきましょう。皆様も固くならず、存分に意見するように」
学校長もギルドマスターも、そのカリスマ性と絶対的存在感を認めており、何も口は出さない。
むしろ笑みすらこぼれるほどに、圧倒的だったのだ。
「こりゃ敵には回せんな」
「そんなことは昔からわかっているでしょうに」
ギルドマスターと学校長は小言をぼやいて、暢気に笑っているが、学園長の「聞こえていますよ」の一言で、「申し訳ない」と肩身を狭くして、話の終始を見守った。
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