1・世界一危険な魔導書

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シェーンは少し驚いた様子だが、狼狽えている様子はない。 「そうかそうか、それなら次は魔法が発動するはずだ。やってみろ」 「はい……」  何が何だかわからない状態だったけど、シェーンの確信に満ちた発言に従った。  もう度、詠唱文を唱えていると、先程と異なり、魔導書の唱えた部分が輝き始めた。  本能的にわかる。  これは発動する。  魔力を極力吹き込まないように努力するが、魔導書から魔力が流れて、自身の容量を満たすのがわかる。  そして満たされた後は、容量を超過した魔力が自然と溢れ出る。  詠唱を終えた時にはもう手遅れだった。 「おいおいおい、それは想定外だろう」  シェーンの表情は明らかに引き()っている。  しかしそれは学生も、リアも、そして私も同じだった。  目の前に現れた光の球体はゆうに2メートルはある。  その密度も、自身の魔力とは到底思えない程に高密度。 「それは受けきれん! 空に放て!」  シェーンが叫びにも似た恫喝を入れて、私は肩を竦めて空に目掛けて放った。  光の球体は流星のように帯を伸ばしながら舞い上がり、空の彼方に消える前に轟音とともに霧散した。  霧散した光は塵となり、桃色の雪のように舞い落ちる。 「なにこれ!」  私は無心で叫んだ。  考える余地などなく、ただただ驚く事しか出来ない。  とんでもない魔法、予想の遥か彼方。  そして、冷静を取り戻すと同時に魔導書に視線を移した。 「これ、本当にあのジンオウの魔導書!?」  こうして私、ティアラの複製魔導師としての学園生活が激動することとなる。
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