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シェーンは少し驚いた様子だが、狼狽えている様子はない。
「そうかそうか、それなら次は魔法が発動するはずだ。やってみろ」
「はい……」
何が何だかわからない状態だったけど、シェーンの確信に満ちた発言に従った。
もう度、詠唱文を唱えていると、先程と異なり、魔導書の唱えた部分が輝き始めた。
本能的にわかる。
これは発動する。
魔力を極力吹き込まないように努力するが、魔導書から魔力が流れて、自身の容量を満たすのがわかる。
そして満たされた後は、容量を超過した魔力が自然と溢れ出る。
詠唱を終えた時にはもう手遅れだった。
「おいおいおい、それは想定外だろう」
シェーンの表情は明らかに引き攣っている。
しかしそれは学生も、リアも、そして私も同じだった。
目の前に現れた光の球体はゆうに2メートルはある。
その密度も、自身の魔力とは到底思えない程に高密度。
「それは受けきれん! 空に放て!」
シェーンが叫びにも似た恫喝を入れて、私は肩を竦めて空に目掛けて放った。
光の球体は流星のように帯を伸ばしながら舞い上がり、空の彼方に消える前に轟音とともに霧散した。
霧散した光は塵となり、桃色の雪のように舞い落ちる。
「なにこれ!」
私は無心で叫んだ。
考える余地などなく、ただただ驚く事しか出来ない。
とんでもない魔法、予想の遥か彼方。
そして、冷静を取り戻すと同時に魔導書に視線を移した。
「これ、本当にあのジンオウの魔導書!?」
こうして私、ティアラの複製魔導師としての学園生活が激動することとなる。
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