1・世界一危険な魔導書

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「あー、めちゃくちゃ怒られたよ」 「当たり前じゃない、盛大に遅刻したんやもん」  こっ酷く教官に怒られた後、リアと合流し、愚痴を零すまでにそう時間は必要なかった。 「そもそもさ、ティアラはセンスあるし、魔力もあるのに緩すぎ。宝の持ち腐れ!」  叱責(しっせき)を受けながら、鼻先にでこぴんならぬ、鼻ぴんを御見舞される。 「あたっ」  鼻先がぴりぴりと刺すように痛む。 「痛いじゃん……」 「そりゃそやね、痛くしたんやもん」  腕を組んで、眉間に皺を寄せて凄まれる。  参りましたと両手を挙げる。  リアは鼻をふんっと鳴らして、くすりと笑い、腕を解いた。 「まぁ、ティアラらしいし、えぇんちゃう?」  ここがリアと仲良くできる一因。  私はこの学園『MMS(Miriallia Magic School)』ではかなりの変わり者。  ここは由緒ある学園で、魔法使いとして確立した貴族や、魔族の末裔、はたまた賢者のご子息なんかが通う伝統と格式高い学園。  私のような遅刻、欠席、不登校を繰り返す学生など他には見当たらない。  そんな私を友達と慕ってくれるリアは、私にとって貴重な存在だった。 「それよりティアラ、今日は『選抜式』だよ」 「あっ」  忘れていた。  選抜式という16歳を迎えた若者達が、自分の適正を確定する為の儀式のようなものだ。
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