1・世界一危険な魔導書

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 この儀式にて、魔導師や、魔術師、魔導機工士など、自身の適正に合った組み分けをされるとともに、どこからともなく『神の御加護』という謎の贈り物を贈られる。  勿論、誰かからではなく、何者かもわからない、姿の見えない神らしき者から、突然光に包まれた贈り物を、強制的(・・・)に渡される。  ある物は魔導洗浄師という謎の職を与えられて、たわしを与えられたらしく、あまりのショックに学園を退園したとか。  私もきっととんでもない適正とともに、(ほうき)のような魔法使いっぽいものでなく、雑巾のような、劣等生に相応しいなにかを贈られると、正直、恐怖に震えていた。  今日という日を忘れていたなんて、忘れられない1日になること間違いなしだった。 「同じ適正だとえぇね」  リアは希望を込めた笑顔を見せて、拳と掌をぱちんと合わせた。  見ての通り、一緒にはならない。  リアのような男勝り、脳筋タイプは間違いなく魔導戦闘士や、強化魔法師のような、肉体強化を得意とした適正を与えられる。 「うん、そうだね」  適当に相槌をうって、溜息を零した。  人前で恥をかくことは勿論、避けたい。 「ティアラさん、リアーナさん。もう始まりますよ。急ぎこちらへ来てください」  突然、背後から女性の声がしたものだから、私は飛び上がり、足が(もつ)れて、前のめりに倒れた。 「あははは! ティアラ緊張しすぎやて」  リアの大きな笑い声で、周囲の学生が私に注目して、くすくすとほくそ笑む。  早くも恥をかいて、私は無性に本を読み漁りたくなった。  いや、本に埋もれたい、なんなら本になりたい。  私が本なら正しいことだけを連ね、誰からも感心されるような参考本になりたい。
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