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この儀式にて、魔導師や、魔術師、魔導機工士など、自身の適正に合った組み分けをされるとともに、どこからともなく『神の御加護』という謎の贈り物を贈られる。
勿論、誰かからではなく、何者かもわからない、姿の見えない神らしき者から、突然光に包まれた贈り物を、強制的に渡される。
ある物は魔導洗浄師という謎の職を与えられて、たわしを与えられたらしく、あまりのショックに学園を退園したとか。
私もきっととんでもない適正とともに、箒のような魔法使いっぽいものでなく、雑巾のような、劣等生に相応しいなにかを贈られると、正直、恐怖に震えていた。
今日という日を忘れていたなんて、忘れられない1日になること間違いなしだった。
「同じ適正だとえぇね」
リアは希望を込めた笑顔を見せて、拳と掌をぱちんと合わせた。
見ての通り、一緒にはならない。
リアのような男勝り、脳筋タイプは間違いなく魔導戦闘士や、強化魔法師のような、肉体強化を得意とした適正を与えられる。
「うん、そうだね」
適当に相槌をうって、溜息を零した。
人前で恥をかくことは勿論、避けたい。
「ティアラさん、リアーナさん。もう始まりますよ。急ぎこちらへ来てください」
突然、背後から女性の声がしたものだから、私は飛び上がり、足が縺れて、前のめりに倒れた。
「あははは! ティアラ緊張しすぎやて」
リアの大きな笑い声で、周囲の学生が私に注目して、くすくすとほくそ笑む。
早くも恥をかいて、私は無性に本を読み漁りたくなった。
いや、本に埋もれたい、なんなら本になりたい。
私が本なら正しいことだけを連ね、誰からも感心されるような参考本になりたい。
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