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「オウル先生、いきなり過ぎて驚きました」
溜息とともに、膝についた土を叩き落とす。
「私は貴方のその落ち着き様に驚いていますよ」
くすくすと無邪気に笑うけど、口調はきちんとしており、黒髪短髪が落ち着いた雰囲気を醸し出す。
オウル先生はいつもこうして背後から驚かせて楽しんでいる隠密魔導師の教官。
「さぁ、いきますよ。今日は魔法使いとしての新しいスタートですからね」
数は少ないけど、その中にはスタートから人生を転落する人もいるのだ。
「ティアラ、マイナス思考がフルスロットルしとるやろ。悪い癖や」
リアは私を気遣ってくれたけど、こればかりは治らない。
なにをしても要領が悪く、それが治らないからいつからかマイナス思考は、私の得意技になっていた。
マイナス思考をエネルギーにできる魔法があれば、私は一流になれるかもしれないと、自らに皮肉を思い浮かべる。
ゆったりとリアと会場につくと、今か今かと順番を待つ学生の数々。
「わざわざ後悔しなくていいのに」
隣に立っていた黒いフードを深く被っている少年が呟いた。
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