375人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
これまた魔具とされる魔水晶。
翳された魔力に応じて、適正を組み分ける為の魔具。
諸説あるけれど、最上位の精霊が人間に与えたと言われているのが有力。
「では手を翳してください」
「はい……」
恐る恐る手を翳して、震える手に力を入れるが震えが止まる気配はない。
思いっきり息を吸い込んだ。
「それでは魔力を込めてください」
先生の言葉を口火に、これでもかと言うくらいに魔力を込めた。
「――随分と豊富な魔力を持ってるわね、それじゃあ――」
頭の中に声が響いた感覚に襲われて、周囲を見回した。
けれど、オウル先生以外に誰もいない。
「ティアラさん、もう大丈夫ですよ」
「あっ、はい」
魔水晶がふわりと光を放ち、続けて魔水晶から言霊が現れる。
言霊とは全ての生物が理解を出来る共通語のようなもの。
それが魔力を持って、私の正面に並んだ。
「複製魔術師……?」
初めて聞く名前に、ついオウル先生を見やるが、オウル先生も初めて見たと言わんばかりの呆気にとられた表情。
そして言霊が私の胸の中に入ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!