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「それでは、続いて――」
オウル先生が魔具の授与に入ろうとした瞬間、魔水晶から小さな光が現れた。
光は形を整えるように、うねうねと形を変えて、宛ら、光のスライムと言ったところだ。
次第に形を作ると、髭の生えた、まるで賢者のような精霊。
私の顔の前を浮遊しながら、舐めるように眺められている。
「成程の。いい素材ではあるのぉ」
突然納得するように頷く精霊。
オウル先生もさらに呆気に取られて、豆鉄砲をくらった鳩、ないし梟という感じだ。
「えっと……」
私が伺うような目で見つめると、精霊は悩ましい顔で私を見た。
「ふむ、鈍臭そうな小娘か。変な適正を引き当てたの」
鈍臭そうは余計ではないだろうか。
むっと顰めっ面を見せると、ちらりと私のアイテムポーチに目を向けた。
「その中に魔具が入っておるの?」
「あっ、はい」
先程拾った分厚い本をポーチを開いて見せた。
精霊は軽く舐めるように見つめると、ふむ、と納得したように頷いた。
「これも運命じゃな。小娘よ。ゆめゆめ忘れるな。今から授けるものは扱い方を間違えると地獄を見るぞよ」
そう言い残すと「じゃっ」と軽いノリで、魔水晶に飛び込んだ。
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