1・世界一危険な魔導書

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1・世界一危険な魔導書

 この世界に溢れる魔法は数多く、生活魔法から、攻撃魔法、治癒魔法とありとあらゆる事柄に魔法は開発されてきた。  魔法とはこの世の全ての(ことわり)をまかなえるとまで言われている。  けれど、この世界にいる(とが)と呼ばれる負のエネルギーから生まれる魔物はその理すらも超越しており、人間では適わないとされ、人間は住む場所を狭め、強固な壁を造った。  そこに少しずつ建てた城は、今や縦に伸び続け、巨大な塔へと変貌している。  人々はその中で生まれ、外を見ることなく亡くなっていく。  それが当たり前だった世の中にも、外の世界を夢見た魔法使いは、塔を抜け出し、魔物に敗れ、朽ち果てた。  だが、過去に1人だけ、伝説と謳われた魔法使いがいた。  それが『無秩序のジンオウ』である。  唯一外の世界に長期間滞在し、生還したと言われる魔法使いで、その記録は塔内歴史館の資料によると、前人未到の15年。  その次にあたる記録が、42日なのだから、あまりに途方もない記録である。  それから幾千年、また無謀な魔法使いが現れた。  後に『怒涛のティアラ』と呼ばれる女性。  これはそんな彼女の物語。
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