アンチバディ ジャンヌダルクの火遊び

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「はい、確かにゴシップ誌の編集……　って言うより記者ですね。その時に連続放火事件を追ってましたよ」
「連続放火事件と大室あずきが関連あるって参道が言っていたのですが」
「関連どころか５件の放火の内の４件……　いえ、３件は間違いなく大室あずきの放火だと考えます」
「じゃあ今捕まってる放火犯は？」
「コンビニのフライヤーを発火させた事は認めてるんですけど他４件に関しては完全否定してるんですよ」
「え？　他の件も自供したと聞いてるのですが」
「小火の件ですね、何でも時給が３０円減らされたり、監視カメラに怠けてる姿が写ってるのが見えて普段から叱責ばかりされていたとかでムシャクシャしてやったとか」
「逆恨みですね、これで放火される方はたまりませんね」
「それはともかく……　ともかくにしてはいけないんだけどこの件はひとまず置いといて、大室あずきの件です」
「彼女がなぜ放火を？」
「八百屋お七が放火をした理由ぐらいに分かりませんよ。始めの資材小屋の放火以降町内会で監視カメラを仕掛けたんですよ」
「そのカメラに大室あずきが……　でも暗がりで写ったのに何故判別がついたんですか？」
「実は確定では無いですけど……　黄色のパーカー着てる女の子が映ってたんですよ、それも赤いジェリ缶を持ってるのが」
「黄色、彼女が国会で着てるスーツの色と同じですね。だからって確定するのは」
「彼女、可愛いだろ？　当時のフリーペーパーでモデルやってたぐらいです。その中のワンコーナーの「私の私服」って堂々とこの黄色のパーカー着て出てましたよ」
「大胆なのか馬鹿なのか分かりませんね。あの、ちょっと話止めていいですか？」
「どうしました？」
「やけに詳しいですね」
「調べてたってのもありますし……　この特集記事が入ったゴシップ誌発売当日の朝に回収になってますし、電子版も無いんですよ」
「幻の記事じゃないですか」
「上の方に聞いても何も答えてくれませんでした」
「ひょっとしてゴシップ誌発売当時の大室あずきって……」
「そうですよ、５期目だかの議員でしたよ。このタイミングで出せばダメージを与えるにも売り上げ的にもベストタイミングでした。このままこの記事を眠らせるのも書いた自分としては悲しいと思ったので今でも電子化してタブレットに入れてありますよ、ほら」