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黒石に聞いて。と、言われても岡田俊行には編集黒石に会うための手段が無かった。出版社に電話しようとしてもどこの部署かも分からない、例えわかったとしても電話越しでは警察だと言っても信じてくれずに教えて貰えない可能性の方が高い。参道求の家にいる可能性もあると思い家の電話にかけてみたが参道求の妻、参道結里加からは「いません!」とだけ言われてガチャ切りされてしまった。黒石と繋がる手段が無かった。 「どうしたらいいんだろう」 岡田俊行は捜査一課の自分の机で頭を抱えていた。そんな岡田俊行に女性警察官が話しかけた。 「あの、岡田警部補」 「なんだ?」 「岡田警部補にお客様がお見えなのですが」 「どこのどちらさん? 悪いけど忙しいから断ってくれる?」 「えっと…… 集王社の黒石さんとおっしゃる方なんですけど」 「マジかよ!」 何たる僥倖! 出来すぎた幸運! 岡田俊行は机を思い切り叩きながら立ち上がった。女性警察官に礼も言わずに黒石がいると思われるロビーに向かった。 「いた」 受付の前では岡田俊行を待ち続ける担当黒石がいた。その姿を見た岡田俊行は歓喜の一入の感情を表に出し、浮足立って黒石に駆け寄った。 「黒石さん! 会いたかったんですよ!」 その異常なまでに高いテンションに担当黒石は引いた。それに構わず岡田俊行は編集黒石の手を握りしめた。 岡田俊行は先程までのテンションが落ち着いたところで編集黒石に事情を説明した。編集黒石は所々うなずきながらメモを取りつつ何か考えているようだった。聞かれてはまずい話もあると思い晴日市警察署から程近いところにある橋の上に場所を移した。
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