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ふしぎの国は終わらない
「叶さんみたいに止まった時間を動ける人も、それで気持ち悪がらない人も、初めてなんですよ。だから、ちょっと勝手がわからないっていうか……」
そう呟いた有栖くんに、反射的に言っていた。
もしかしたら望まない言葉かもしれないけど、けど、言っておきたかった。
「もうひとりじゃないよ」
「…………っ!!!」
今度こそ顔を真っ赤にして、有栖くんはどこかに行ってしまった。あとを追いかけようとしても、動き出した時間を歩く人たちで追いつけそうになくて。
けど、それでも。
たぶんわたしと会うことはないだろうけど、この先彼が自分の人生に悲観しないでいられたらいいな――とか思ったりするのは、よくないのかな?
「ばいばい、有栖くん」
そして、わたしの不思議な午後3時は無事に終わって。
その後、ちょくちょく彼に会うようになったのは、また別の話。
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