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雨上がりの空から、虹色のしずく④ (R)
呼吸の合間に唇を少しひらくと、優の舌が差し込まれて、より深いキスに沈んでいく。
ぬるりとからめ合って、もつれ合って、時間も忘れていく。
優の舌が上顎を擦っていくと、そこからじんわりした温かさが広がっていった。
唇で、舌で、繋がって、やわらかい部分を晒け出して。
この体は誰でもない、俺のもの。
優がキスしたところが、優が触れたところが、自分の体があるんだって気付く。
こんなところに自分の唇が、自分の肌が、自分の指が、自分の首筋があるんだって気付かされる。
「ん……っ」
呼吸が上がっていって、心は愛しさでいっぱいになって、優の温かな肩にしがみついた。
優は体を、俺の体に擦り寄せるようにして、ぎゅっと押し付けてきた。
ふっと、自分の腰に、触れたことのない感触が当たっていた。
それが優の反応なんだと分かって、俺は戸惑った。
男同士なんだし、同じもので当たり前なんだけど、俺といて反応していることに今さらながら驚きと――
自分にそう反応していくれることに、胸の奥にちいさく喜びがふわっと灯るのを、不思議な気持ちで感じていた。
それは、優だから。
「優――」
唇を離すと、優はすぐ横に寝そべるようにして、それから俺の指先をもてあそぶようにいじっていた。
伏せられた瞳はいつもより茶色く濡れているようで、速い呼吸を繰り返して上下する胸や、苦しげに寄せられた眉がセクシーだった。
優はぎゅっと目をつぶって、俺の掌を自分の頬に強く押し当てた。
当たっている腰は震えているようで、俺は何度か瞬きした。
優は苦しいんだ――
ただ俺が進むのを待っている優を、たぶん解放してあげられるのは今、俺だけで――
その想いは心で膨らんで、ふうっと息吹き込むと、大きく弾けた。
俺はおずおずと指先を伸ばしてみた。
強張る指はぎこちなくて、なるべくそれを優に気が付かれないように息を飲んだ。
「優」
キスしたい、今――
そう思ったことに自分で驚いて、気持ちはフワフワと落ち着かない。
たぶん初めて、はっきりと自分から、ゆっくりと唇をよせてくちづけた。
それから、ためらいがちに優の下肢の昂りに、指を這わせてみた。
そこは下着の上からでもくっきりした形をしていて、確かめるように指でなぞっていくと、押し返すような確かな感触が手の中にあった。
「葉……司……」
優は驚いたように、パッと目を見開いた。
下着をずらすと、弾けるように出てきた、優の中心部をまじまじと見つめた。
肌色で、優の頬のようになめらかで、それを優の髪と同じ茶色がかったくせっ毛が囲んでいる。
それは、確かに優とつながっていて、優が小さくなったようで、どこか可愛いと思ったことに、心はフワフワと揺れている。
「あの……葉司?」
驚いておずおずと訊く優が、愛しくて、その想いが胸に充ちてハレーションしていく。
「優――」
「えっ」
ゆっくり掌で握ると、その昂りは熱くて、びくんと跳ねた。
俺がそっと掌を上下すると、優は呼吸を速めて、ぎゅっと目をつぶった。
先端から粘液が溢れ出てきて、優の体が俺といて俺の手で気持ちよくなっているんだと知ると、どこか誇らしいような、もっとしてあげたい気持ちになった。
「葉司……大丈夫……?」
唇を噛むようにしてそう言う優が、快楽の中に息を弾ませている。
「ん……」
そっと顔を上げると前髪と前髪が触れて、目の前にはくっきりとした唇がうすく開いていた。
ちゅっとキスをして、掌で刺激を繰り返すと、優はぎゅっと眉を寄せて、真剣な目をして俺だけを見ている。
この手いっぱいにある昂りの熱さ、それは、優の生命の温もりで。
優の心とつながっているようで、手にした感触は、清らかにさえ思えた。
清潔で快活な、優そのもののようで、優が感じていることに胸は高鳴っていく。
「大丈夫……みたい」
そう告げて、片手で粘液で濡れた先端を弄りながら、もう片手で上下に擦っていった。
「あ――やばい、葉司……ッ」
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