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きまぐれ王子と踏んだり蹴ったり姫
自分の価値なんて
決めてみたことがなかった
他人からの評価にも
関心がなかった
あの娘を確保するにはどうしたらいい?
どいつを排除したら一番ラクか?
「学校に来ないで!」とキレあうほどに
いがみあったライバル
ノーサイドなんて言葉は
女子の辞書にはないの
ある日
いがみあいの場から
1歩引いてみた
押してダメならってやつに近い
そのときだ
はじめて姫が追いかけてくれた
戦い、競いあう王子より
旅に出る王子
そのほうがおもしろい、と
「今日はどこに行く?」
尋ねる君 こたえる私 案内してくれる君
学校で待ち合わせては
毎日 『旅』に出た
どこまでも歩いて
意外な話もした
皮肉だね
あらためて向かいあうことで
違和感を覚えた
学年、つまり御代が変わったとき
王子、つまり私は
同じクラスに暮らす姫のもとへ
バトルのかけらもない日々
仲良し3人組
教室の鉢植えを囲んで
水かげんの相談
女なんて男次第というけれど
10代の頃は友だち次第だった
馬も剣も鎧もどこかに忘れて
少女漫画の貸し借り
そういやあの頃
あの姫はどうしていたんだろう
もしかして
自分の価値に悩んでしまっていただろうか
………
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