第三話:純粋な筋肉痛

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「……できた……」  流れる汗、弾んだ息。  アシタルは震えながら、顔を上げた。 「できた……できた! できました! 遂に間違えないで踊りきれましたーーっ!!」  あれから体感時間で何時間が経ったことか。  天の御柱とローランドに指示されながら、励まされながら、アシタルは何度も何度もダンスを練習し続けて――  遂に、遂にダンスが完成したのである! 「アシタル様~~~! やりましたね、がんばりましたね……! わたくし感激ですっっ!!」  ローランドが涙ぐみながら喜んでくれる。アシタルもつられて目に涙が浮かんでしまう。 「ううっ、ううううっ、これで、これで、明日どうにかなるよ~~っ! 天の御柱様、ローランドさん、ありがとうございますっ!!」 「がんばったね、アシタル。人間って凄いや」  天の御柱は優しく頷きながら、アシタルの頭をぽんぽんと撫でてくれた。 「まあ、本番は明日だからね! 練習の成果を出せるように、しっかりね」 「はい、コーチ!」 「神だよ~」 「神様!」 「ふふ。やっぱり君に色々と任せて良かった」  天の御柱は、アシタルを撫でる手を下ろし――ちょんと指先で彼女の右手に触れた。 「これからもしっかりね。また仮死状態になったら会おう」 「うっ、また会いたいのはやまやまですが仮死状態前提なのが……!」 「うんうん、死なないように気を付けてね?」 「はひ……。あ、そういえば」 「ん?」 「あのー……どうしてフランシスさんって司祭なんですか? いや、不満って意味じゃなくて まあやりたい放題なところはありますけど……」 「ああ、フランシス? 彼はね……律儀でお節介な吸血鬼なのさ」 「へ……?」 「というのも――あっ、君達の蘇生が始まったみたいだ。また今度! 死にかけたら会おう!」 「物騒!?」  そこで、アシタルとローランドの視界は暗転する。
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