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「……できた……」
流れる汗、弾んだ息。
アシタルは震えながら、顔を上げた。
「できた……できた! できました! 遂に間違えないで踊りきれましたーーっ!!」
あれから体感時間で何時間が経ったことか。
天の御柱とローランドに指示されながら、励まされながら、アシタルは何度も何度もダンスを練習し続けて――
遂に、遂にダンスが完成したのである!
「アシタル様~~~! やりましたね、がんばりましたね……! わたくし感激ですっっ!!」
ローランドが涙ぐみながら喜んでくれる。アシタルもつられて目に涙が浮かんでしまう。
「ううっ、ううううっ、これで、これで、明日どうにかなるよ~~っ! 天の御柱様、ローランドさん、ありがとうございますっ!!」
「がんばったね、アシタル。人間って凄いや」
天の御柱は優しく頷きながら、アシタルの頭をぽんぽんと撫でてくれた。
「まあ、本番は明日だからね! 練習の成果を出せるように、しっかりね」
「はい、コーチ!」
「神だよ~」
「神様!」
「ふふ。やっぱり君に色々と任せて良かった」
天の御柱は、アシタルを撫でる手を下ろし――ちょんと指先で彼女の右手に触れた。
「これからもしっかりね。また仮死状態になったら会おう」
「うっ、また会いたいのはやまやまですが仮死状態前提なのが……!」
「うんうん、死なないように気を付けてね?」
「はひ……。あ、そういえば」
「ん?」
「あのー……どうしてフランシスさんって司祭なんですか? いや、不満って意味じゃなくて まあやりたい放題なところはありますけど……」
「ああ、フランシス? 彼はね……律儀でお節介な吸血鬼なのさ」
「へ……?」
「というのも――あっ、君達の蘇生が始まったみたいだ。また今度! 死にかけたら会おう!」
「物騒!?」
そこで、アシタルとローランドの視界は暗転する。
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