第三話:純粋な筋肉痛

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 それから――  結論から言うと、『記念日』は大成功に終わった。  アシタルは見事に歌と踊りを披露して、これが物凄く領民に受けた。彼女はシリウスフォールのイメージキャラクターとして、かつ『歌って踊れるヒーラー』として、その歌と共に知名度を一気に高めたのである。  記念日は風習通り、毎月催されることとなった。  それに伴い、天の御柱の名声も再び高まっていくことだろう。 「……ゆくゆくはグッズ展開をして……握手券やファンクラブ設立……ファンミーティングやツアーも……新曲もいずれは……『歌って踊れるヒーラー』……売れるッ!! 財政が潤うッ!!」  一方、エルドレッドは商魂逞しいのであった。  なおアシタルが稼いだお金は基本的に公共事業に回される。城壁の修理や、老朽化した橋や道路の修理、神殿の運営費などなど。  そんなアシタルはというと―― 「あ、歌って踊るひとだ」 「あの歌のひとだ」 「この前の、記念日の! 素敵でした!」  ――と、『庭で水やりしてるひと』から、『歌って踊るひと』にランクアップ? したのであった。  ちなみにローランドとの修行の成果で、腹筋がちょっと割れた……。  今日もシリウスフォールは平和である。  アシタルはというと、今日も今日とて、しつこいニキビや肩こり腰痛、頭痛にあかぎれ、深爪に眼精疲労と、立派にヒーラーとして頑張っているのであった――。 「……なんだかささやかなものしか治してないような!?」
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