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しばらくすると、病室のドアがコンコンとなった。
「若菜?」声が聞こえると
ベッドを囲んでいるカーテンの端がシュッと少し開き、廉が顔を出した。
廉の今にも悲しみに崩れてしまいそうな表情に若菜は泣きそうな顔をして笑う。
「ごめんね……」
はぁーっとため息をつく廉。
「ごめんねって言っても許さないから」ちょっと怒った顔をする。
「ごめん……」若菜の瞳から涙が伝う。
「ひとりで頑張ろうと思ったの?」
廉はベッドの脇に腰を下ろし、
若菜の細くて柔らかな髪に指を差し込み、流しながら聞いてくる。
「うん。」
「若菜はひとりじゃないよ、俺を頼ってよ」廉は若菜の頬を伝う涙を指でそっと流す。
若菜はその言葉に下を向いて黙りこむ。
「私、死んじゃうかもしれない」
「死ぬなんてわからないよ。俺がずっとそばにいるから、一緒に頑張ろう」そっと若菜を引き寄せ抱き締めた。廉は若菜が震えるのを感じた。
廉……本当にいいの…
ありがとう……
こんな私でごめんね。
若菜の不安な気持ちが廉によって、うすれていくような感覚を感じた。
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