そして善魔大戦

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「む・・痛いところをついてくれる。あれ以外は・・たぶん、思い残すことは、何もないのだがな・・」東丈は、素直に認めた。  とても他人に話せる話ではないが、一時期、幻魔と戦う羽目になったのだが、そのとき、その幻魔はあろうことか、丈の潜在能力というモノを開放させて戦うことを望んだのだった。  その一時期、たしかに初老にさしかかった東丈は超能力の巨人になってしまったのだった。東丈は、姦計をもってそいつを”封鎖空間”に永久に封印することに成功した。そいつを封印に成功したことにより、しかし、東丈の超能力は、また消えてしまったのだった。  そのために、その当時できた”平行宇宙”間を自在に移動することが出来なくなってしまった。その間にしたことは、別に活劇ファンの喜ぶような大活劇ばかりではない。縁を得て、今まで果たせなかった、妻帯、家族を持つことになった。それまでも、自分が家族を持たなかったのは、別に何かの忌避があって・・まあ、軽度の”女嫌い”はあったのは否めないが・・のことではなく、”なんとなく”だったので、そこに何の不思議はないのだが。”その世界”に戻れなくなってしまったのは、確かに残念なことだった。  もっとも、そのときの彼は、超能力者としてピークだったらしい17歳の少年になっていたのだから、こんな初老の老人が”親父だ”といって現れても、”冗談はヨシコさん”といわれて門前払いになるだけだろうという、残念な思いも在る。その全てが、今思えば、一夜の夢のように、今は思える。そんな体験だった。 「どうだよ」 「いいよ、頼まない」 「頼めよ」 「いやだ。それより、”ひらりん”って何だ?」 「弟の卓のヤツから聞かされてないのか」 「何を」 「なんだ、その口ぶりでは、あのウイングシティであった事件の顛末について、あいつは何もお前さんに話していないってことになるんだな、それでも兄弟かよ」 「悪いな、東の兄弟は、そんなものなんだよ」 「ち、悠々自適か」 「・・なんか違うと思うが」
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