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「義兄さんが姉さんの住む家に引っ越すことになったよ」
思わない結論のようでかすみが驚いている。
「将貴は一緒じゃない。本間の家は大学に近いし、卒業したらあのマンションに住みたいって言ってたじゃないか」
あのマンション……勇矢がこの家に引っ越すまで住んでいた賃貸マンションだ。
甥は、大学を修了後、独り暮らしを望んでいて、あまり広くないところがいいと、勇矢たちが退去する時に頼んできた。
なので、今も勇矢が借りた形になっている。
大学院は二年。もし、博士課程を希望するなら五年後。又貸しは禁止だが、誰かに住んでもらってもいいと考えていた。
なので、将貴は両親とは暮らさないで、祖父母と生活すると決まった。
「それなら夫婦二人ってことですね」
「うん。姉さんが本間の家に戻って、また揉めたら今度こそ終わりだからさ。まず、夫婦でやり直して、それから戻る形がいいだろうってね。
本間のご両親は反対したようだ。姉さんが出ていったわけだから、歩み寄るならそっちだろうってことだと思う」
しかし彼らを説き伏せたのは慎一だった。決して良好な関係の夫婦でないとしても、情だけではない想いがあったのだろう。
貴和と慎一は、二人できちんと話し合って関係を築いてから次のことを考えると決まったわけだ。
「それなら安心ですね。今のお二人ならきっと向き合えますよね」
かすみは安心したようだ。貴和が一人で暮らす状況が終わると知り、ホッとしているのが分かる。勇矢はそんな彼女を見て微笑んだ。
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