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骨を拾う時、かすみは小さな骨壺を持参していた。薄青い布で包まれた、掌に乗るほどの大きさの骨壺に、彼女は直弥の左手を納めていた。
その時、勇矢はようやく気づいた。
直弥の指輪……いつの間にか消えていた。
秋になる頃にはなかったと思い出した。直弥は、かすみに二人の記念の指輪を遺したのだろう。
そして、かすみは、その指輪のための左手をもう一つの骨壺に納めた。彼女の強い愛情を感じた。
勇矢は、もう一度、直弥に語りかけた。
直弥……かすみちゃんはおまえを本当に愛してる。そんな彼女を見守ってくよ、ずっと……
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