第五章 すべてを包む愛-針葉樹の森のように

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 「専任のプログラマーということで出向してほしいんだ。  英志(えいじ)叔父さんや淑子(よしこ)叔母さんを思うと申し訳ないんだけど、どうだろう」  確かに両親は喜んでいた。息子が霧山商事に選ばれた。喜ばない親は存在しないだろう。だが、勇矢は即答していた。  「いいですよ。少しの間は兼任になりますけど、それで良かったら」  まだ、今の会社で業務を行っている。指摘に遼雅は苦笑した。  「それはそうだ。  明日にでも出向指示の連絡をしておくよ。一か月くらいで引き継いでもらいたいかな」  言われた勇矢は少し黙った。担当業務の引き継ぎをする時間を考えていた。  「多分、大丈夫だと思います。もし、間に合わないなら、その時また相談するってことで」  その後は情報交換を軽く行い、一段落したので勇矢は帰宅しようとした。  子供の時も宿泊はなかった。大人になれば、もっとないだろう。自宅マンションで休みたかった。  明日は金曜日。今週はもう一日出勤だ。
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