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「いらっしゃい。この景色久しぶりじゃない?」
勇矢は同じマンションに住み続けている。実家へいずれ帰るので、引っ越す必要を感じなかった。
「ああ……こんな景色でしたね。一年もいなかったから、すごく新鮮に見えます」
かすみは懐かしさも含まれる声で窓の外を見ている。冬なので、窓から見える景色は寒そうだ。
「ホットレモネード飲まない?」
ビタミン摂取を考えて、家政婦が常備してくれている。熱湯を入れるだけなので勇矢でも作れる。かすみが好きだと知った時から、勇矢も好んで飲むようになった。
かすみは頷いて、カップを受け取った。
「あ、この絵……まだ飾ってるんですか。恥ずかしいです。外してくださいよ」
勇矢は笑顔のままだったが、頼みは断った。
「駄目だね。かすみちゃんが新しい絵を描いてくれるなら、交換してもいいけど」
「それは……」
直弥を喪ってから、かすみは絵を描いていない。勇矢も知っている。
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